『ちょっと殴らせてくれないか。』 もうずいぶんと離れたあいつの後ろ姿を見て、言いかけたその言葉を慌てて飲み込んだ。 ……気を抜くとダメだな。このイラつきを全部あいつにぶつけたくなる。 慌てて前を向き、次の教室に向かう。 そういえばどれぐらい付き合ってたんだ? 一年続いてたのか、何ヵ月かなのか。 どっちにしたって、 「ただ、あいつを俺しか見えないようにすればいいだけ。」 有沢の顔を思い浮かべ、また口元が緩んだ。