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わけの分からない不安に襲われながら、なんだかんだ眠ってしまったのだろう。





うっすらと目を開けると、目の前に時計があり、針の指す時刻は8時。




カーテンとカーテンの間からは、決して良い天気だとはいえない灰色の空。けれど、気持ち空が明るく、朝なのだと分かる。



やはり、昨日の喪失感のような不安はまだ胸に滞っている。





何も考えたくない。





やけに目が冴えて、二度寝をしようと目をつむるけれど眠れなくて。ゆっくりと起き上がり、二階の自分の部屋から一階の家族のいるリビングに向かう。




リビングに行く前に顔を洗おうと洗面台の前に立つと、なんともいえない情けない顔をしていた。不安にまみれて。



それを洗い流すように強めに顔をこすり、顔を洗う。




だまされて両親とも職を失って、金をすべて騙し取られて、信用していた心さえも汚された。






一度は完全に壊された家族だけど、もうなんとか立て直して、普通の家族としての生活を取り戻せている。バラバラだった家族は、再び団結して生きていこうと新たな一歩を踏み出している。