side優





元幼馴染、長谷川黎(はせがわれい)に復讐してやりたかった。苦しめばいい。



俺の苦しみを味わえばいい。身をもって知ればいい。どれほど惨めな思いをしたか。





信じていた幼馴染に裏切られ、幼馴染の父親に騙され、家族が崩壊した。




その苦しみを。





彼女に背負わせたかった。







友達のノリに合わせて、嘘告もした。絶対に振ると思っていたのに、振らなかった。



俺からの告白を本気にした。騙されているとも知らずに。




そして、昨日。




久しぶりに、『優』と名前で呼ばれて動揺した。胸が絞るように締め付けられて痛かった。名前を呼んだときの彼女の悲痛の顔が浮かんでくる。




名前を呼ばれただけなのに、嫌な予感がしてならない。寒気がする。怖い。






あんなやつ、どうなろうと俺には関係ないのに、もう二度と会えない気がして、





怖い。