玄関を閉めた途端、溢れていた涙はぴたりと止まって、現実を思い出した。 誰も家に入れないように。気づかれないように。 鍵を閉めた。 そして、リビングに行き、用意しておいた紙を机の上におき、 手首にナイフを当て、 目をつむって、 横に、引いた――