「でも、何?」


私が聞き返すと、

桐原くんは私の肩を引き寄せて抱きしめる。


走ったせいで、いつもより早い鼓動。

鼻を掠めるちょっとの汗と、彼の香り。


「こーゆーのも悪くないだろ?」


耳元でささやかれる。



私の望んだ平穏な高校生活は手に入らなかった。


だけど、

今、私はそれなりに楽しい日常を送っています。


だから、


「悪くない、かもね?」



私の逆高校デビューは

成功って、ことでいいよね?



【FIN】