お父様もお母様も千佳さんも康明さんも、全員が私と桐原くんから目を離さない。
息が詰まる。苦しい。
今まで味わったことのないような締め付けられる想いが私を襲う。
だけど、
「すぅー」
大きく息を吸い込む。
私はここで逃げるわけにはいかない。
桐原くんと目を合わせる。
まっすぐだ。いつだって、桐原くんの瞳はまっすぐなんだ。
逸らすことなんて、出来ない。
見つめかえせばそれだけで、感情がぐちゃぐちゃになって全てを放棄したくなる。思いっきり桐原くんに抱きついて好きって言いたくなる。
だけど、放棄しちゃいけない。私が言うべき言葉は好きって言葉ではないから。
私には言わなきゃいけないことがある、それなのに声が、出てこない。


