「知ってるよ。そのために来たんだから」
そのためって一体どういうこと?
私、関連の話なの?
私には全く話が見えない。
康明さんが私たちに背を向ける。
「千佳、優雅」
康明さんの凛とした、声。
息を飲む。
今……ゆう、がって
聞き間違い、なんかじゃない。今、はっきり優雅って言った。
その響きを聞くだけで今も胸が苦しくなる。正しい呼吸が出来なくなる。動揺せずにはいられない。
なんで、なんでその名前が、康明さんの口から出てくるの?
どう、なってるの?
「舞桜ちゃん、僕が何の為にここに来たか、君にはもうわかるんじゃないかな?」
康明さんがまっすぐに私を見つめる。
目の前にはすぐそこまで来ている彼の姿。
知らないなんて、言えやしない。
「……どうして」
誰にも聞こえないような小さな声。
視線を落として、ぎゅっと拳を握りしめる。


