お父様もお母様も李玖も、桐原くんも全部全部私が!って、なんて私都合がよすぎるよね。
わかってる。
だから、桐原くんは手放すことにしたんだ。
わかってたはずなのに、いざこの気持ちを忘れようとするとできなくて苦しくなった。
でも、
のんのおかげで思い出した。
なんで継ごうと思ったか。
桐原くんへの気持ちで見失ってた思いを。
昔からずっと私は『家族のために』って思ってきたんだから。
今更それは変えられない。
「だったら、舞桜の気持ちはどうなる、のよ」
のんの私よりも辛そうな表情に私は微笑む。
「難しいかもしれないけど、忘れる!」
今の気分は桐原くんと話していたときよりもずっといい。
のん、心配してくれてありがとうね。
口で言うほど忘れるのが簡単じゃないって、わかってる。
でももう、私の中には諦める以外に選択肢はない。
「舞桜は、それでいいの?」
未練がないって言ったら嘘になる。
でも、
「ありがとう、のん。おかげ覚悟が決まった」
もう、自分で決めたことだから。
私は、忘れる努力する。
もう、振り返らない。