「李玖くんがいるでしょう?」
当たり前のように答えるのん。
確かに、うちには私の弟である長男の滝川李玖がいる。
だけど、
「それは、無理」
「どうして?本来、長男である李玖くんが継ぐのが筋じゃない。舞桜が無理に継ぐ必要はないはずよ」
のんの言う事も一理ある。というより正論。
でもね、私は
「李玖には出来る限り自由にさせてあげたい。そのために、私が滝川グループ継ぐって決めてから今日まで経営の勉強もそれなりにやってきた。
お父様も私を跡取りにするって言ってる。
それをいきなり好きな人ができたから継ぐのやめます、じゃ筋が通らないよ。なにより私がそんなのいやなの。
もし李玖がうちを継ぎたいって言うなら、そのときはもちろん譲るけど。
それでも李玖にはたくさんの選択肢をあげたいの。それが姉としての私が李玖にしてあげられることだから」
自分で言って呆れる。こんなわがままなきれいごと。