大きくため息をつく。
「はあー……」
昔の出来事が、突然思い起こされる。
小さい頃、私がまだ小学生低学年とかそのくらいのとき。
好きなことも習い事も旅行も全部私の好きなことをさせてくれた。
普段から家にはあまりいない両親だったけど、会ったときにはめいいっぱい遊んで、愛情を注いでくれた。
だけどあるとき、お父様に本気で好きな人だけはつくるなって言ったんだ。
そのときはまだ幼かった私にはよく意味がわからなかった。だから元気いっぱいに、無邪気な笑顔で返事をしていたんだ。大好きな両親のいい子でいたくて。
それは、このことだったんだ。
今だからわかる。
本気で好きな人をつくっちゃいけない理由が。
たとえ好きでも好きって言えないから。
好きになっても報われないから。
私が、苦しい思いをするだけだから。
お父様は私が苦しくならないように忠告してくれてたんだ。


