少し前なら安心したこの鼓動も、今は違う。
今は苦しくなるだけの材料だ。
やめて、やめてよ。
お願いだから、私をこれ以上
……好きにさせないで。
好きが、溢れる。口を開けばこぼれ落ちる。
私が壊れちゃうよ。
だから、ありったけの力を込めて桐原くんの肩を押し返す。
ごめんね、桐原くん。
「ってぇ、何すんだよ」
肩をさする桐原くん。
そりゃあいたいですよ、私の全力ですから。
あとちょっとの我慢だから。
桐原くんの方に思いっきり振り返って笑う。
「ね、桐原くん。しだれ桜の花言葉、覚えてる?」
桐原くんは不思議そうな顔をする。
「優美、だろ?」


