はあーと桐原くんが息をはく音が聞こえる。
「なんだよ、嫌われたんじゃねーのかよ」
心から安心したようなその掠れた声に、振り返らずにはいられない。
嫌う、わけない。なんて言えやしない。
そんな言葉かけられたら私、すべてを言いそうになる。
さっきから、好きって言葉が喉の奥まで出かかってる。
一言でも発したら、全部溢れそうになる。
「お前が桜だなんてこと、ずっと前からの勘付いてた」
桐原くんの真剣な瞳がまっすぐ私の目を捉える。
「お前と桜には共通点が多すぎんだよ。同一人物だって疑うには十分すぎる。
西園寺とかなり仲がいいし、滝川も桜も身長156ぐらいだろ?髪の長さも同じくらいだし。
暗いところが苦手なとこだって。
掴んだ手首に、抱きしめたときの華奢な身体。
それと、
キスの感覚も
これだけ共通点があって気づかねーやついねーから」
バレバレ、じゃん。
全然ダメだ、私。もっと徹底しないといけなかったんだ。


