ゆっくりとドアを閉めて私の向かい側に立つ。
「……悪いな、遅れた」
「ううん。待って、ないよ」
「お前、その……声」
私はニコっと笑う。きちんと目を合わせて。
もう、バレてるなら隠さなくていい。
喋り方も声も桐原くんの前でぶりっ子をする必要はない。
「桐原くんは、もう気づいてるかも知れないけど」
そう言って、用意しておいたメイク落としを手に取る。
「見ててね」
目を閉じてメイクを落としていく。
本気で信じてもらうにはこの方法が1番良いと思ったから。
これが私なりの、桐原くんと片を付けるってこと。
桐原くんが私の顔をじっと見つめる。
呼吸するのさえも許されないようなそんな緊張が漂う。


