「はっお嬢様、おかえりなさいませ」


「笹本さーーん!!お嬢様がお戻りになりました!」


橋本さんに声をかけると、周りの従業員さんも一旦忙しそうな足をとめて私に会釈をしてくれる。


「舞桜さま、ご帰宅なさったばかりで申し訳ないのですが、すぐに笹本さんのところへ」


「え、あ、はい」


誰も私の質問に答えてくれないんだけど……

わけもわからない間にどんどんと話ばかりが進んでいく。


まあ、私はとりあえず笹本のところに行けばいいんだよね。


でもさ、なんで誰も私のメイク崩れに突っ込まないの?

泣いてるんだからメイク崩れてるよね?

私に関心ないのかね?


なんて若干の不満を持ちつつ笹本のところに向かう。


「笹本、ただいまー」