息を肺にめいいっぱい吸い込む。
「た……滝桜ってだあれ?舞桜はそんな名前じゃないよぉ?
芸能人?まあ、舞桜がかわいいのはわかるけど〜、だからって芸能人と間違えないでよぉ!
桐原くんってばぁ、頭いいのに間違えちゃったの〜?」
一瞬動揺してしまったのを桐原くんに見抜かれてないことを祈るしかない。
偽りの笑顔で誤魔化す。
その間もずっと心臓がバクバクし続けている。
「じゃ〜あ、日誌も終わったことだし!舞桜は帰るね〜桐原くんっ!ばいばーい」
「おい、滝」
これ以上ここに居たくなくて、半ば強引に桐原くんに手を振って教室を出る。
やばい、やばい、やばい……!!
廊下をゆっくりと歩き始めて、次第に早歩きになって走り出す。