泣いていい、なんて優しい言葉ズルイ。
そんなの甘えてしまいそうになる。
自分から抱きついて声を出して泣きたくなってしまう。
でも……、
桐原くんから体を離す。
私は恋なんてしちゃダメなんだ。
好きなんて、絶対知られちゃいけない。
自分の気持ちに気付いたところで私は何も変わらない。
私は
「きゃっ、桐原くんに抱きしめられちゃった♡ありがとう!
でもぉ、舞桜が泣きたいってなんのことぉ?」
いつもの『滝川舞桜』を演じ通すだけ。
「……お前、」
何か言いたげな瞳で睨んでくる。
そんな桐原ににこぉーっと笑う。