「もう、おしまい!そろそろ行こっ」


そう言って歩き出そうとした。


けれど、
桐原くんに腕を引かれる。


振り返ると桐原くんは下を向いて何も言わない。

腕は強く掴まれたまま。


なんだろう?


「キス、してみる?」


え……


突然、桐原くんの口から思いがけない言葉が発せられる。


桐原くんの黒い瞳がまっすぐに私に向かってくる。


びっくりして、すごく動揺してるのに、

逸らせない。


桐原くんが今、何を思ってるかなんてわからない。


だけど、直感で、本能が言ってる。

その瞳から逸らすことはできない、って。