***
うっすらと目を開けると視線がぼやける。
薬品独特の匂いが鼻を掠める。
花のような香りは、ほとんどしない。
「夢、なのか……」
気づくと保健室のベッドの上だった。
夢にしては鮮明すぎる。
それに、制服の腕の部分に残る微かな香りに温もり。
何があったか思い出そうとしても、頭はガンガンとしてうまく働かない。
身体は重いし熱い。呼吸も苦しい。
ああ、くそッ!
やっと、やっと彼女に会えたと思ったのに。
こんな大事なときに何も出来ない自分にイライラとする。
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