しばらく、そこに立ち尽くしていた。

視線を感じて、顔を上げると、一人の生徒があたしをじっと見ていた。

慌てて目を逸らした。

それでも、視線を感じて、思わず顔を俯かせた。

すると、声が上から降ってきた。



「あんた誰?」


それは、さっきの女の子に言った声と同じで、冷たい声だった。

あたしは、急にそう言われて、オロオロした。

それから、顔を上げ目を見ながらしゃべる。


「え、えっと、あ、あたしは、今日入学してきたは、橋本花菜、で、ですっ」


噛みながら、一気に捲し立てた。

でも、途中で目を逸らした。