『……好きです。西藤くんのことが好きです……』


『………』



ちょうど、図書室の中に入ろうと、手をかけたら中から声が聞こえてきて、手を下ろした。

そして、ドアに耳を寄せて、息を潜めた。

そしたら、また中から声が聞こえてきた。


『あたしじゃ、ダメですか?』


女の子の声は、可愛らしい声だった。

もう一人いるんだろうけど、しゃべってない。

と、その時、別の声が中から聞こえてきた。


『別に。てか、あんた誰?』


その声はとても冷たく、低い声。

男の子っていうより、男の人って声。

それからは、声が聞こえなくなった。

あれって、思って耳をドアにピタッとつけた。

そしたら、中からパタパタと走る足音が聞こえてきて、あたしは、ドアから離れた。

どうしようとドアの前をウロウロしてたら、ドアが開いて、女の子が出てきた。

その子は、茶髪のストレートヘアー。

顔は、お人形さんみたいに整った子。


あたしを見て、一瞬驚いたような表情をしたあと、俯いて、どこかに消えた。