【花菜side】


あたしは、約束の場所にいる。

そこで、ある人を待つ。

そう。

あたしがいる場所は図書室。

あの日、あたしたちが初めて出会った場所。

ここなら、うまく言えるような気がして。

──ガラガラ……

ドアの開く音がして、ドキドキが大きくなり早い。


「よぉ」


それだけで、もっと鼓動が早くなった。

ヤバい……。

言えるかな?

だんだん不安になってきた。

あたしは、椅子から立ち上がって、彼の止まった場所までぎこちなく歩み寄った。

そして、顔を上げた。

顔を上げれば、先輩の瞳に簡単に捉えられる。


あたしも、じっと彼を見る。