【花菜side】
あたしは、橋本花菜。

高校一年生の、普通の女子高生。


あたしは、ある先輩のことが好き。

でも、なかなか素直に想いを伝えることができない。

その先輩の名前は、西藤弘樹先輩。

西藤先輩は、無愛想で無関心。で、あたしよりひとつ上の二年生。

けど、あたしにはよく話しかけてくれる。

自意識過剰かもしれないけど、ひとつ下のあたしのことを気にかけてくれてるような気がする。

しゃべりかけてはくるけど、態度は他の女の子達と一緒。

それでも、あたしにとっては、嬉しいこと。


西藤先輩は、学校一、二位を争うほどカッコいい。

けど、あたしが好きになったのは、顔だけじゃない。

それは、あたしがある出来事を見てしまったため。



あの日の出来事を――――。





あの日はそう、たしか入学式が終わったあとのことだった。

あたし達入学式が終わったあとは、すぐに帰らなきゃいけなかったんだけど、先生に見つからないようこっそり、学校の中を探検してた。