「目覚めたか!?」
「…せ、先生…?」
目をあけた瞬間、飛びこんできたのは里中先生の顔だった。
「…えっと、私」
「倒れたんだよ、終業式の途中で。
ずいぶん勢いよく倒れたっていうから、頭でも打ったんじゃないかと心配で…どっか痛むか!?」
「…いえ、別に」
「…そっか」
ホッとしたように息を吐き出す先生。
…その時、私はあることに気付いた。
私の左手が、先生の両手にギュッと、握られている…。
「…あ、の、先生?」
「ん?なんだ?やっぱどっか痛むのか!?」
「いや、違くて…。
……手、ずっと握ってくれてたんですか?」
「…!!!」
私の手をはなした先生が、勢いよく立ち上がり背を向ける。
そしてそのまま近くの棚の上からファイルを取り出すと、ものすごい勢いで捲り始めた。
…あの…先生それ…読めてる?
「…先生」
「違う!違うんだ、手を握っていたことに対して特に深い意味はない。気にするな」
「…はい」
まだしっかりと、先生の温もりが残っている左手をグーパーする。
…先生、気持ちひとつで、ちょっとした行動の持つ意味は、全然違ってくるんだね。



