うそつきは恋のはじまり♡






…でも、今回はただ単に課題の存在を忘れていたわけではなくて



言い訳だけど、私の頭の中に課題が入り込む隙なんて1ミリもなかった。





…先生以外のことを考える余裕が全くない。



考えたくなくても、考えちゃうんだもん。




はぁ…とため息をつきながら担任に命じられた通り画鋲で案内の紙を貼っていく。





そっと入り口から体育館の中を覗いてみるけど、もちろんそこに“先生”の姿はない。





…今どこにいるんだろう。

何してるんだろう。

もうどこか遠くにいるのかな。




…もう二度と、会えないの?





「っ痛…!」



「どうした!?」




私の監視をしていた担任(自分も動け)が、指先から流れる鮮血に慌てて駆け寄ってくる。




…どうやら、画鋲を自分の手に思い切り突き刺しちゃったらしい…。





「バッカだなぁお前は、ほんとにドジでアホでマヌケだなぁ」




心配するフリをしながら言いたい放題言ってくる担任(花の独身42歳)。




「…ちょっと生徒に暴言吐きすぎじゃないですか?」



「そうか?もうこっちはいいから保健室行ってこい!」



「え、でも…」





里中先生はもういないんじゃ…




一瞬そう言いかけて、すぐに気付く。






そっか。もう明日は入学式だし、明後日には始業式。



新しい先生がいたって全然不思議じゃない。






「おい、何ボーッとしてんだよ。とっとと保健室行って手当してもらえ」





担任が私の手から案内の紙と画鋲を奪い取りながら言う。






…なんか、行きたくない。


手は痛いけど。めっちゃ痛いけど。




保健室に里中先生以外の人がいるっていう…現実をまだ受け止めたくない…。





「だから早く行けって」




突っ立ったままの私を見て怪訝な顔をする担任。




「そんで、帰ってきたらマイクとスピーカーの確認と横断幕のチェックと檀上の花を…」




「……」





このままここにいると永遠に用事を言いつけられそうだったので、私は静かにその場を離れた。