【短編】甘い薬

水の入ったコップと2錠の薬を渡した。


だけど雅哉は薬を掌にのせて、見つめているだけ。


何してんの・・・飲まなきゃ治らないよ?








「俺がコレ飲んだら・・・愛美(マナミ)帰んの?」





小さくつぶやくように、掌を見つめたまま言う。


いつもは大きく見えるその姿も、なんだか今日は小さく見える。


寂しそうに俯くその瞳が可愛く感じてしかたなかった。


だけど・・・










「帰って欲しいなら、帰るよ。」