「おーい、杏里。帰ろっか」


茜の声がした様な気がした。でも…うっすらとしか聞こえなかった。何故だって?んー…何故だろう。多分…多分?

女子達の話で必ずと言ってもいいほど恋バナが出てくるだろう。私は好きな人なんていない…いないはず……
だって、私の王子様は二次元にいるんだもの。と思っていたが、転校してきた人はまさにあのキャラの実写版の様な王子様だった。その人の名前は…

「えっと転校生だ。挨拶をしてもらう。」

先生の声だ。その数秒後に…

「工藤徹です。東京から来ました。」

私のハートは奪われた…

「あー、工藤さん。あなたの席は内田さんの隣。一番後ろの右端ね。」

先生…今なんとおっしゃりました?と私は思った。

「あ、隣の席になるな。よろしく。」