「あ、あの、わ、私なんかでよければ、その、お、教えます……」

おずおずと私がいうと、

「やったあ!ありがとう!超嬉しい!」

と、なんかすっごい喜んでくれた。

あ、可愛いな。

って、何考えてるんだろう、私。

「じゃあ橘さんさ、もう一個お願い聞いてくれない?」

「なっ…なっなんでしょうか…?」

「同じ学年なんだからさ、敬語、やめよう?
僕、さっきから、若干距離感じてるんだけど…」

一木君がすこし苦笑いして言う。

「え…私、敬語使ってましたか?」

全然気づかなかった。噛みまくってるのは、自覚してたけど。

「え、気づいてなかったの?……その、橘さんと、な、仲良くなりたい、から、さ?タメで、話してくれない?」

大きい瞳が、私を見つめる。

物語に出てくる、王子様が現実にいるみたい。

「は、はい……で、では、これからよろしく…ね?」

わっ、なんか、疑問形になっちゃった。
 
それでも、一木君は、にこっと笑って言った

「よろしくね、橘さん。」