ふっと顔を上げる男の子。でも何もしゃべらない。まさか、違ったのかな?
「すっすっすいません!間違ってましたか?」
「いや、いや、あっあってる!あってる!
ただ、名前、覚えててくれたんだなとびっくりして…」
一木君は焦って言った。
一木直(いつきなお)君とは、1年生のとき同じクラスだった。喋ったことは…ない、と思う。
私はカウンターをでて一木君の近くに行った。
「どんな本を、お探しですか?」
かまないように、いつかもらったマニュアルどうりにいった。
隣に立って気づいたけど、一木君は、結構背が小さい。154㎝の私と、目線が同じくらいだ。
「あ、えっ、えっと、なんだっけな、えっと、」
何故かかおが真っ赤になってる一木君。熱があるんじゃないか、と少し心配していたら、
「好きです!」

