勉強会を始めてから1時間後。

ー私は自分の課題に手をつけられていなかった。

「ごめんね橘さん……」

その大きい瞳には、うっすら涙も浮かんでいた。

遡ること1時間前。

「橘さん…これなに?」

英語のワークをやっていたらしい一木君が、ワークを開いた瞬間に聞いてきた。

「ど、どれですか……え、」

一木君が分からないと言ってきた問題は、1年生の復習のページ。しかも一番最初のbe動詞の所だった。

「他も全然分かんないんだけど…英語だけは、特別だめで。文法入った時点で、分かんなくなった…」

これは……失礼だけど、かなり重傷だ。

「僕、相当馬鹿なんだ…」

私は1年生の文法から教え始めた。