いつものように、腰まで伸びた黒髪を揺らしながらこの扉を開ける。


誰もいない、私だけの楽園。


私、橘花織(たちばなかおり)は、今日も学校の図書館を訪れた。


理由は、図書委員の当番だからだ。入学当初、
見ず知らずのクラスメートから押しつけられたのがきっかけで、中学1年のときはずっと図書委員をやっていた。

そして新学期、クラス替えしても、当たり前のように図書委員に決まり、さっさと忘れられた。


人見知りな性格のせいで、入学して1年たっても、友達は出来なかった。もう諦めかけている。
 

図書委員会は地味で誰もやりたがらないから、
きっと押しつけやすかったのかな。