涙は、止まることなく瞳から溢れていく。

これは、僕のせいではない。
でも、彼女のせいでもない。

「………泣かないで。」

なら、涙を止めてくれ。
小さく唇を動かしたが、声にはならなかった。
だが、彼女には十分通じたのだと思う。

気がつけば、彼女の顔が至近距離にあって、そっと唇に何かが触れる。

それが何か、分かっていた。

彼女の唇は柔らかくて、僕の涙の味がした。



それが僕の、ファースト・キスだった。