「じゃあなんかあったらメールでもいいから言えよ。」
そう言って帰っていく蒼井の背中は、大きかった。
「私たちも、帰ろうか。」
「うん。」
冬花ちゃんと歩き出す。
「咲葉ちゃん。」
不意に声を発した冬花ちゃんを見つめる。
「私にも、頼ってね。私、学校来ようって思えたの、咲葉ちゃんのおかげなんだ。」
「私の.....?」
「うん。いつもプリントとか届けてくれたし、メールだってしてくれたでしょ?」
してたけど.....たったそれだけ。
「でも、それだけしか、してないよ...」
それでもっ!と強い声で冬花ちゃんは言う。
「それでも私は、嬉しかった.....!」
夕日で赤く染まった、私たち。
風が、凪ぐ.......
「私たち、友達なんだよ...!咲葉ちゃんのこと大切に思ってるのは....」
泣いていた。冬花ちゃんも、私も。
「天城さんだけじゃ....!ないんだよっ!」
あぁ。そうか。私はいつも、桜花が桜花がって。
冬花ちゃんが、距離を作っていたんじゃない。作っていたのは...
ーーー私だ。
どこかで、桜花以外には心を許せない。そんな風に思ってる自分がいて....
