すっかり暗くなった学校の帰り私は考えていた。

『私は、あの家に帰っても居る意味が無い存在していないも同然・・・家出が出来たらどんなに楽だろう。』

と・・・。

「家で出来ない理由があるの?」

どこからか男の子の声が聞こえた。周りには誰も居ない。それなのにまた声が聞こえた、今度は頭に響くような甘い声色で

「ねえ、そんなに家に帰りたくないなら僕と家出しない?」

その声が聞こえなくなった時、足に何か当たった。足元に視線を落としてみると、そこには黒猫が居た。しゃがんでその猫を撫でてやると、猫は私の目を見た。次の瞬間、猫は光ったあまりの眩しさに私は目を閉じてしまった。そして、私が次に目を開けた時動揺した。なぜなら、猫が居た場所に黒いネコミミ付きのパーカーを着てフードを被っている男の子が立っていたからだ。

「あ・・・あのっ・・・。」

私は、やっとのことで声を出したがそれより先に男の子がしゃべり出した。

「僕は、黒田霧也よろしく。君家出したいんでしょ?一緒に家出しよ!」