アイロニ




『・・・まさか行くの?』


「草太くんが傷ついているかもしれないときに、何もしないまま笑っていたくない」


あの日、草太くんが私に掛けてくれた言葉。


『・・・わかった。前行った海だよ。あそこの近くにある倉庫。そこが一応活動拠点』


「ありがとう」


一言お礼を言うとそのまま通話をきった。


そして家には向かわずそのままの足で駅に行き、電車を乗り継いで海へ。


海を眺めるといつもみたいに碧くはなく、茜色に染まっていた。


もう少しで日が落ちる。


あたりは徐々に暗くなり、上には月と星まで昇ってきた。


そしてそのときを待っていたといわんばかりに鳴り響いたのは、
聞きなれたバイクのエンジン音。


ただそれは一台だけじゃない。


数十台ものバイクのエンジン音が重なっている。


少しずつ紅いテールランプも見えてきた。