しばらく歩くと、高いビルがたくさん見えてきた。
それにつれて人もたくさん行きかうようになる。
どんなに歩いても草太くんがどこに向かっているのかがいまだにわからない。
ひたすら前を歩く草太くんの大きな背中についていくだけ。
「美桜」
「何!?」
突然前を歩いていた草太くんが振り返り、話しかけてきた。
「そこでご飯食べよ」
「う、うん」
草太くんの指が示しているほうを目で追っていくと、小さな隠れ家みたいなカフェがあった。
「いらっしゃいませー」と言う明るく元気な声と共に、席に通されふわふわな椅子に座る。
もちろん机を挟んで向かい合わせで座っているのは草太くん。
あえて顔をあまり見ないようにすぐにメニュー表に目を落とす。

