アイロニ




「『一家殺人事件』か・・・。嫌なこと思い出させるかもしれないが、事件の後どうした
んだ?」


「高校生になるまでは親戚の家を転々としてたよ。
皆『呪われた子』って言って歓迎なんてしてくれなかったから」


苦く笑う。


久しぶりに言ったな・・・。


『呪われた子』だなんて。


そりゃそうか・・・殺人事件が起きた家の子供なんて快く歓迎する人のほうが少ない。


わかってるのに、心が痛む。


「被害者も加害者も報われねぇな・・・」


ボソッと萩くんが何かを言う。


でもあまりにも小さすぎたため、何を言ったのか聞き取れなかった。


「何?」


「いや、何でもない。そろそろ帰るな」


「あ、うん」


「じゃあね!美桜!!」


「またね」


萩くんは夏樹を連れて病室を出て行った。