アイロニ




思い出した。


どうして、ここまで来るまでに思い出せなかったんだろう。


一番忘れたくても忘れられない『あの日』の出来事だったというのに。


ここで思い出しても・・・もう遅い。


体はリビングへと続く扉を開けていた。


「え・・・」


部屋中、真っ赤に染まっている。


真っ白だった壁も天井も赤い飛沫が散っていた。


その中には壁や天井についている赤と同じものを流している、家族の姿。


「お母さん・・・?お父さん・・・?おにぃ??」


いくら呼んでも返事なんて返ってくるわけない。


そんなこと頭でわかっているのに、言葉が止まらない。


遠くの空で雷が鳴る。