本当のサヨナラ

目を開けたら懐かしい手料理の香りがした。

「かぁちゃん…?」

「こはく……」

私の目には大粒の涙があった。

「かあちゃー…」

なぜか私は母ちゃんを、母ちゃんと呼べない…

私の心には、母ちゃんって呼んでいいのかな…?

どうして私をさらったの?

で、いっぱいだった。

私はあえて母ちゃんと呼ばず
「ひ…ひさしぶり。元気にしてた…?」

と話しかけた。

母ちゃんは、

「ごめんね…さらったりして。
話がしたかったの…ひさしぶりに…」

母ちゃんの目にも、大粒の涙があった