「はやく、しろって」 自分勝手な、近藤くんに対しての怒りがとてつもなくあるのに声も出ないし掴まれた腕を離すとこさえできない。 数分前まで結構いた学生も、もう疎ら。 私たちのやりとりを聞いている人もいなければ見ている人も誰もいない。 「……来いよ!」 痺れを切らしたのか、思いっきり腕を引っ張られた。 声も出ない、手を振り払う力も出てこないのに、涙は溢れ出てきた。