「こんにちわ。初めてのご利用ですか？」


「あの・・人を探してまして、浅井綾香さんが最近いつ来たかって教えて頂けませんか？」


受付の女性は少し戸惑った表情を見せた後「少々お待ちください」と言い、誰かに電話を掛け始めた。


それから５分後くらいしてスーツを着た男性が現れ、受付の女性が翔達の前へと連れてきた。


「このスクールの責任者の渡辺です。君達はなぜ綾香さんを探しているのかな？」


渡辺にそう聞かれ、ありのままに経緯を説明した。


「なるほど。でしたら、お教えできる範囲でお答えいたします」


その後、翔達は奥の部屋へと通された。


部屋の中は、長テーブルとイスが６つある簡素な会議室といった感じだ。


翔と美加は渡辺と向かい合う形で座った。


「さて、何が知りたいのかな？」


美加が一冊のノートを取り出し、メモをしながら質問し始めた。


「綾香が最後にこちらに訪れたのはいつですか？」


渡辺もファイルを開き、調べながら質問に答える。


「えっと・・記録によると１０月１７日の１７時３２分に受付を済ましているね。」


「その時、綾香は１人でしたか？」


渡辺が首を傾げているとガチャッとドアの開く音が聞こえ先ほどの受付の女性がお茶をだしてくれた。


「なぁ関根さん。１０月１７日の夕方に綾香さんが来たと思うんだが、その時の状況を覚えているかい？」


この受付の女性は関根さんと言うらしい。


関根さんは壁にかけてあるカレンダーを見ながら、ハッと何かを思い出したように喋りだした。


「そういえば、１７日というと大川さんが退職した日ですよね？確か綾香さんは大川さんにお別れの挨拶に来られた筈ですね。」


渡辺も「そうだそうだ」と頷き、翔達に説明してくれた。