校門まで行くと裕也の姿が見える。


「翔も美加も遅いぞ。さぁ!綾香に会いにいくぞ!!」


裕也は無駄に気合が入っているようだ。


一先ず校門を出て翔と裕也が月払いで借りている駐輪場まで歩いた。


校内にも駐輪場はあるが校則で原付は禁止されてる為、翔と裕也はいつもその駐輪場に停めて
いた。


美加はいつも駅まで歩って通学してるから、今日は後ろに乗せてやる事にしている。


駐輪場に着き美加にヘルメットを渡し綾香の家を目指した。


綾香の家は学校からそう遠くはなく15分足らずで見えてきたが、家の前には1台のパトカーが停まっていた。


原付を降り家の前まで行くとちょうど警察官2名と綾香の両親が話をしている姿が見える。


時折、母親は目にハンカチを当て泣いていた。


翔と裕也はその光景に呆気に取られていると美加が警察官達に近寄り声を掛けた。


「あのぉ・・・もしかして綾香に何かあったんですか?」


全員が美加の方を振り向き、母親が答えた。


「美加ちゃん・・綾香がいなくなっちゃったの!」


それだけ言い母親はまた泣き出してしまい、それを旦那さんが抱きしめ家の中へと入っていってしまった。


残された警察官が美加に尋ねてくる。


「私、太田北警察署の杉村と申します。」


そう名乗った警察官は背が高くスラッとしたスタイルで年齢も20代後半といった感じだろうか。


「浅井綾香さんのご友人で間違いありませんか?」


美加を見つめる鋭い視線から目が離せなくなっていた。