あまりに虚を突く質問だった


「知っていますよ。自分の学校ではモデルをやっているという事で結構有名な子です。」


「その子の父親が通り魔事件の被害者なのも知ってるね?」


翔は即座に「はい。」と答えた。


「君達から見て、平野優子さんはどういった感じの方か教えて貰えないかな?」


翔は戸惑いながら答えた。


「えっと、それはなにか綾香の事と関係があるのですか?」


杉村は「そっちの事件も捜査をしていてね」とだけ答えた。


「俺達と同い年なのにすごい大人っぽくて綺麗な女性ですね。それに一度だけ優子の部屋に行ったことがあります。」


その話を聞いた綾香は瞬時に翔をにらみ付けた。


「美加・・まぁ聞け。友達と遊んだ帰りに突然雨に降られて困っていた所を、優子にばったり会って雨が止むまで家に入れてくれたんだよ。」


「まぁ特別何かあった訳ではないですけど、優子の部屋に家族写真が飾ってありまして、いい写真だねって言ったらなんともいえない表情されてすぐ写真隠されちゃったんですよね。」


翔は苦笑いしながらそう言うと杉村は「実際、平野家では日常的に父親が暴力をふるっていたみたいだから気難しい家庭だったんだろな」と付け加えた。


その後、杉村はすぐ席を立ち翔に1000円渡すと喫茶店を出て行ってしまった。