「綾香が中学の頃から通っているスクールなんですが、私達なりに綾香を探しててそのスクールに行き話を聞いてきたんです。」


その後の説明は翔がきり出した。


「実は失踪した日の夕方17時半頃に綾香はスイミングスクールを訪れているんです。」


そこまで聞いた杉村は手帳にメモを取り始めた。


「綾香がスクールに行った理由は、その日退職する大川という方に挨拶しに行っていたみたいなんです。」


「その大川という人とはどのような関係なのかな?」


「綾香が中学の時から指導してくれていたインストラクターの方みたいです。それで、その人に話を聞こうとスクールの責任者の方に連絡をとってもらうことにしたんですが・・・」


杉村はメモを取る手を止めて先ほどとは変わり真剣な顔つきでこちらを見つめてきた。


「連絡がとれなかったみたいなんです。退職理由がお袋さんの容態が悪く実家に帰るというものだったんですが、実家にも帰られていないようなのです。」


「という事は、大川という人も行方不明という事かな?」


翔は頷きながら「そういうことです。」と答えた。


「あくまで俺達の推測なのですが、綾香の失踪の原因に大川という方が関わっているのではと考えています。」


杉村は目の前のコーヒーを一口含んだ。


「君達には本当に言いずらい事なのだが、失踪届けが出されたとはいえ、事件性がないと警察は本腰いれて捜査はしないのだよ。でも、今の話が本当なら綾香さんは事件に巻き込まれた可能性がある。私の方からスイミングスクールに行き裏づけをとり、本格的に捜査を開始できるようにしてみよう」


「それと・・」と杉村は話を続けた。


「平野優子という子を知っているかい?」