聞かれる事はいつも同じ。


「お父さんに最近変わった事はなかったか?」


「お父さんが恨まれるような出来事などはあったか?」


「お父さんが襲われた日は何をしていたか?」


などだ。


まぁあの人にまったく関心の無い私に答えられる内容などない。


それに事件のあった日は撮影が遅くまでかかり、スタッフからも証言を得られている。


また同じ説明をするのかと少しうんざりしながら待合室の方へと向かった。


スタジオの待合室のテーブルにスーツを着た20代後半であろう男性が座ってる。


その男は優子に気付き、スッと立ち上がり一礼して太田北署の杉村と名乗った。


「突然押し掛ける形となってしまい申し訳ありません。いくつかお話をお聞きしたいのですが宜しいでしょうか?」


優子は杉村の目を見た途端に察した。


「宜しいでしょうか?」と言う割には、もはや強制的のような空気が漂っている。