―ピロン

玄関先で鳴る携帯の音。

(好きという気持ちは止まらないものなのだな)

何度も言うものじゃないのだよ、と言いながらも緑間くんだって、この気持ちに気付いて伝え合って十分興奮してるじゃない。

そう思うと笑えてきた。

そして、その下に表示されていた知らないアドレスからの受信メール。

そのメールは何十分も前に受信していたようだ。気付かなかった。

(紫原)

たったの二文字。
彼の好きっていう想いは、お菓子を好きとか、バスケが好きとかそう言う感じであって、恋愛感情の好きとかではないのかな。

だとしたら、今日のことだって言いやすい……。

二階に上がり、ベッドに横たわった。
大切な人に先に返信しよう。

私は、緑間くんへのメールを作成した。

(私も止まらないよ。同じだね)

それから、紫原くんへの返信も作成した。

(今日はいろいろあったね。あれから緑間くんには会えたよ)

紫原くんには、緑間くんのことが好きなことも伝えた。
ちゃんと私の気持ちは分かってくれているはずだ。

(これから、蟹座と獅子座が相性悪い日の過ごし方が分からないのだよ)

またおは朝のことだ。
単純というか、それがこだわりというか、本当に面白い。

(どうしよう?私も緑間くんもラッキーアイテムを持っていれば、まだ救われるかな?どう?)

明日からマメに緑間くんから、ラッキーアイテムのお知らせが届くんじゃないかと思うとおかしくて仕方ない。

(やっぱりみどちんがいいの?)

緑間くんからの返信だと思って開けたら、紫原くんだった。
彼はまだ、緑間くんの方がいいのか訊いてくる。執拗に迫ってくるのはどうして……。

(ごめんね。緑間くんが好きなの)

(俺も好きなのに、どうしても?)

(どうしてそんなに言ってくれるの?女生徒なんていっぱいいるじゃん……)

そろそろ困惑してきた……。
どうしたら分かってくれるのかな。
もう緑間くんを傷付けたくない……。

(明日から毎日おは朝の結果を教えるのだよ。だから、たまにお弁当を作って欲しいのだよ)

ほら。こんな可愛いメールがくるんだもの。
裏切れるわけない。

(斉ちんじゃなきゃ嫌だ)

突き放しても送られてくる紫原くんのアタック。私、紫原くんに何もしてないのに……何が原因だったんだろう。

(お弁当を作るときは、前の晩に連絡しなきゃダメだね!お母さんに伝えないといけないでしょ?)

(困るよ、紫原くん……)

メールを返したものの、明日からどんな顔して紫原くんと会えばいいのか分からないな。

緑間くんと紫原くん……亀裂走ったりしないかな。