もしも緑間くんと恋をしたら

しばらくして、パソコンを開けた。
メールが着ているのに気付く。
相手はもちろん、緑間くんだった。

(お疲れ様なのだよ。明後日の日曜日のことだけど、どこか行きたいところでもあるのか?俺は騒がしいのが苦手だからそこは考慮して欲しいのだよ)

「ふっ、可愛い」

私は思わず声をこぼした。

騒がしいのが苦手か……。
私も騒がしいのは好きじゃないけど。

(行きたいところというのは、あまりなかったんだけど、雑貨屋さんとか行きたいかな……。それと、芝生公園で散歩とかどうかな?)

そう送信した。

実は、私は料理が得意だ。
お弁当も毎日自分でつめている。お母さんが朝忙しそうにしてたのをみて、少しでも手伝えたらと思い始めたのがきっかけだ。

芝生公園でお弁当を一緒に食べたいなっていうことなんだけど……。

しばらくして、またメールが届いた。

(それで構わないのだよ。当日、朝の十時に迎えに行くつもりなのだが、問題ないか?)

結構、淡々としたメールで順調に事が進んでいく……。
緑間くんって、本当に不思議だ。

(迎えに来てくれるの?)

すぐに返信すると、彼もすぐ返信してくれた。

(何か問題でもあるのか?俺は構わないのだよ)

これって、男性が女性を迎えに行くのは当然なのだよ。ってことなのかな。緑間くん風に言うと……。

ツンデレって、こういう人を言うのかな。

(じゃあ、待ってます。あと、携帯電話を持たせてもらえることになったから、明日新しいアドレスから送るね)

(そうか。それは好都合なのだよ。すぐに連絡取れるからな)

好都合……。
その言葉の意味に引っ掛かる。
それってつまり、私が携帯電話を持っていると用があるときすぐに連絡取れるってことだよね……?

緑間くんの中で、私ってどういう存在なのだろう。

(そうだね。明日の練習も頑張ってね!)

(人事を尽くして天命を待つ。俺の座右の銘なのだよ)

人事を尽くして天命を待つ。ことわざか……。
私は本棚にあることわざの辞書を広げた。

自分の全力をかけて努力をしたら、その後は静かに天命に任せるということで、事の成否は人知を越えたところにあるのだから、そんな結果になろうとも悔いはないという心境のたとえ。

と、本には書いていた。

努力することに迷いなど無い。ということか。結果は後からついてくる。そういうことかな。

(かっこいいね。じゃあ、私も人事を尽くさなきゃダメだね)

そう返信した。

(馬鹿め)

この三文字の返信はすごく早かった。
馬鹿め、って……。

照れてるのかな。本当に面白い人だな。