そんな中学校で、私は平凡な生活を送っていたのだ。

勉強も人並み。部活だって入らず、ただ自分のしたいことを探してた。

我が校で誇られている彼らやさつきが、本当に羨ましいくらいに。

「みちるん、何かしたいこと見つかった?」

昼食時。

お弁当を広げながらさつきが、いつものように一言こぼした。

「……ない。いい加減焦るよね」

私は右手を後頭部に当て、いつものように苦笑した。

さつきには、毎度毎度小突かれている問題。

彼女にとって、青峰くんの次に放っておけない人間が、どうやら私……斉藤みちるのようだ。

「ねぇ!みちるん、バスケ興味ないって言ってたけど、どうせ暇なら見においでよぉ」

「どうせ暇ならって、暇だけど……」

「何か閃くかもしれないよ!」

今までも幾度となくさつきには、あのバスケ部を見においでって言われたけれども私が面倒くさくなって行かないことが度々。

これも何回目かの押しにしか聞こえない。

「ねぇ!いい加減見に来るだけでもいいじゃない!私たち、今年で中学終わりなんだよ?」

そうだ。
今年で中学終わり。
さつきのいうように、やる事が見つからない私はこの時期とくに重症だ。

「うーん……。じゃあ、今日は行く」

「本当に?!本当に、本当??」

うん、と頷いたときのさつきのホッとした顔は脳裏に焼き付いて離れなかった。