そして、放課後。
帰りの仕度をしていた。
その時だった。
「…結愛!」
「…えっ!?」
来るの早っ!
まさか、全部サボってたとか!?
「きゃー!龍崎くんだよ〜」
「カッコいい〜!遊ぼうよー!」
クラスの女子たちが龍崎の周りに集まった。
…やっぱりモテるんだな。
「俺は結愛にしか興味ねぇんだよ」
「…なっ!なんてこと言うのよ!」
「うっせ!早く行くぞ!」
「ひゃっ」
いきなり腕を掴まれ、引っ張られた。
…なんでそんな堂々としてるのよ。
「…この後どうするつもり?」
「まぁ、ひとっ走りするか」
「えっ…?」
龍崎は学校の駐輪場に向かっていた。
あぁ!チャリで来たのね!
「ん」
「わっ!」
ヘルメットを投げられ、慌ててキャッチする。
そして、目の前にはバイクが…
「えっ!?ま、まさかバイクで来たの!?」
「当たり前だろ。…後ろ乗れよ」
「う、うん…」
あたしは驚きを隠せないままだった。
…さすがヤンキー。
ヘルメットを被り、龍崎の後ろに跨った。
「ちゃんと掴まってろ」
「…あ、うん」
龍崎はあたしの両手を掴み、自分の腰に当てた。
あたしの顔の前には龍崎の背中。
広くて、ガッチリしてる。
ブルンブルン。
エンジン音が聞こえ、走り出す。
…初めてだな、バイクに乗ったの。
少しウキウキしている自分がいた。