◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~




「俺、サーカスでナイフ投げしてんだ!とりあえず、今日は遅いし、うちに泊まれよ!」


「あ、カイが出てたサーカス、さっき見てたよ。お世話になってごめん」



こんな優しい人に会えて良かった。私、案外強運の持ち主かも。




私は、カイと一緒に喫茶店を出て、サーカスの中へと案内される。



………さっきは、ここをルークと出たんだよね。ほんの数時間だと思う。なのに、隣にルークはいない。


「…………………」



暗くなる私の手を、カイは握ってくれた。



「俺もさ、サーカスの団長に拾ってもらったんだ」

「え………?」


「両親には、生まれてすぐ捨てられてさ………」



カイは私に自分の生い立ちをぽつりぽつりと話し出す。私は、それに静かに耳を傾けた。




「これ、気持ち悪いだろ」

「これっ…………」



カイは、ズボンの裾を少しめくり、私に右足を見せた。それは、鋼で作られた銀の足だった。



「生まれた時から、右足が無かったらしい。それを気味悪がった両親は、俺をすぐに見世物小屋に売り飛ばしたんだよ」


見世物小屋………私は、それがどういうものなのかわからない。だけど、それが良いところとは到底思えなかった。