「ほら、しっかりして?あなたが動揺してどうするの?」
「え!?あ、そうだよな!すまん!」
何故か私が励まし、少年は深々と深呼吸する。
「よし!じゃあ、仕切り直して。お嬢さん、大丈夫か!?」
「今さら!?」
なんというか、彼は常人とは遥かに斜め上をゆく思考の持ち主のようだ。
「困ってたんだろ??」
「それはまぁ、そうなんだけど………」
改めて問われ、思い出す。
そうだ、私は今ひとりぼっちなんだ………。この、わけの分からない世界に、ただ一人。
また気分が沈んでいく私に気づいたのか、少年は慌てる。
「俺、カイって言うんだ。お嬢さんは??」
「あ……と、佐藤 雫」
それを聞いたカイは、私に笑顔を向け、手を引く。


